水の都
水の王国、ドルフィナ。豊かで平和なこの国に、一人の旅人がやってきた。旅人は国の中心部へと歩いていく。
水の都ドルフィナ……久しぶりだな。相変わらず辺鄙な場所だ。こんな辺境によくも王国なんか作れたものだ。
旅人が道を曲がると、誰かがぶつかってきた。その女が抱えていた荷物が辺り一面に広がる。
「ごめんなさい、すぐに片付けます!!」
「すごい荷物だな」
「えっ? あ、はい。私、この国の女王様のお洋服を作ってるんです。自分の道具じゃないと落ち着かなくて」
「それでこの大量の裁縫道具、か……城に行くんだろ? 持っていってやるよ。」
「そんな、申し訳ありません」
「構わない。どうせ城に用があったんだ」
「まあ、そうなんですか。じゃあすみません、お願いします」
オレ達は城に向かった。城に用があるというのは嘘ではない。こいつと一緒に行けば、城に入るのも楽に済むだろう。
「ありがとうございました。城の中まで運んでもらって……」
「構わない。じゃあな」
「あっ、帰り道わかりますか? このお城広いですしよろしければご案内します」
「大丈夫だ」
オレは廊下に出た。兵士に見つかる前にとっとと用を済ませたい。
「確かここに抜け道が……まだあるかな?」
廊下の隅の古びたランプを回すと、道が出てきた。まだ抜け道は残っていたらしい。
道の突き当たりに部屋がある。ここがオレの目的地だ。部屋の中には……よし、ちゃんと居るぞ。
「久しぶりだな、アキム」
「……発音が少しおかしいですよ、kikoさん。私の名前は秋霧、です」
「そんな細かいこと、気にしなくていいだろ。それより、この城は警備が薄すぎるぜ。こんなにあっさり入れるなんてな」
「警備が薄いのではありません。貴方を招き入れただけです。kikoさん、また国を出てきたのですか? 大臣が泣きますよ」
「別にいいだろ。平和な国にじっとして居たってしょうがないじゃないか」
「貴方はもっと一国の王としての責任を持ったほうがいいと思いますよ。ゼブルスは、最近交易が軌道に乗ってきたのでしょう。指示をしなくても良いのですか?」
「いいって、いいって。秋霧だってつまらないと思ってるからオレを招き入れたんだろ?」
「それは確かにそのとおりですが。……霧人」
「はい」
いつの間にか後ろにキリトが立っていた。こいつはいつも突然現れる。
「私はしばらく出かけます。しばらくの間ドルフィナをよろしくお願いしますよ」
「畏まりました。お気を付けて行ってらっしゃいませ」
「それで、どこに行くんです?」
「ここから少し西にいったところに死霊の塔ってところがあるだろう? あそこの魔物は一人で倒すには少しきついんだ」
「そうですか、では早速行きましょう。できるだけ早く帰らなければなりません」
「……そうだな」
こいつは帰ることしか考えられないのか? 死霊の塔と聞いても驚きもしない。
だが、死霊の塔の魔物が凶悪なのは事実だ。油断せずに行かなければならないだろう。
そして、kikoと秋霧、二人の王は旅立った。自らが選んだ運命とともに。
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kikoさんへ
50hitプレゼント。
ドルフィナ=ドルフィン=いるか、ゼブルス=ゼブラ=しまうま
ということになっています。
しまうまパラドックスの王でありますkikoさんへのプレゼントということで、登場人物にさせていただきました。