−44の迷宮−

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 ああ、私は何をしていたのだろう。
 いつでも、やり直す機会は与えられていたというのに。
 嬉しくて……あまりにも嬉しくて、私は、忘れてしまっていたのだ。
 エンドレス……。
 終わり無き、

 勝つことも、そして負けることも無い永遠の戦い。
 昨日から今日、そして明日へと受け継がれていく、永遠の、
 苦しみ、悲しみ続ける日々。
 決して終わることの無い、もしかしたら、始まってすらいないのいかもしれない、
 孤独との、終わりなき戦い。

 去り行くものを追う事はできない。
 知らないうちに、その人を……そして自分を傷つけてしまうから。
 全てを知り、
 戦略をたて、戦い続ける。
 それが、唯一の方法なのかもしれない。

 確かに、人はいつでも孤独な存在なのだ。
 近しいと思っていた者でも、いつかは自分を裏切るときが必ず来る。
 つらくとも、それは本当のことなのだ。
 天の定めに、逆らうことなどできない。
 徳の高い……どんなに徳の高い人でも、人であるが故に、人を裏切るものなのだ。

 なのに、そのことを私は忘れてしまっていた。
 似ていた……彼女は、私にあまりにも似ていたから。でも、彼女は、
 温もりを……私にはない温もりを持っていた。
 ネジの様に曲がりくねり、冷たくなっていた私の心に、
 残していってくれたのだ、彼女は。あたたかさを。もうずっと昔に忘れてしまっていたものを。

 初めて知った自分の家族……。
 人の温もりを、初めて教えてくれた。
 双子という、それだけではない繋がりが、彼女との間にはあった。しかし、
 変動していくものなのだ。人の気持ちとは。……いや。
 本当は、つながっていると思っていたのは私だけだったのかもしれない。

 真っ白な世界。
 見知らぬその世界に、間違って足を踏み入れてしまったような気がした。
 群れから離れ、迷子になってしまった1匹の子羊。
 面倒を見てくれる人がいないと、何もすることができない。
 もう、何もする気が起きない……

 やっと、一人になれたのだ。そう考えればいいのかもしれない。
 勇気を持ち、自分独りで生きていくのだ。
 夜はやって来るけれど、闇は、光ほどに私を痛めつけはしない。

 ラビリンス。
 輪廻の輪の中の、永久に続く迷宮。
 ルールを破り、ここで、止めてしまおうか。出口を探して彷徨うことを。
 冷静になってみれば、特に難しいことではない。だからこそ、止めてしまうことはできない。
 蝋燭の火を消し、暗闇の中で考えてみよう。

 私は、独りで生きていく。


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